“Untitled” (Stress Ball)_jp

“Untitled” (Stress Ball)
2026年
ポリウレタンフォーム、テキストプリント
サイズ可変 

地球儀型のストレスボールに「人間は全て能力で用いられるべきだ」という言葉がプリントされており、観客はひとつ持ち帰ることができる。握ってストレスを解消するためのボールは、その費用対効果の高さから、現代アメリカでは企業の販促ノベルティとして広く流通している。プリントされた言葉は、土佐の貧しい漁村から漂流し、初めてアメリカで暮らした日本人・ジョン万次郎が語ったとされる一節である。封建社会だった江戸時代を生きた万次郎がアメリカで感動したのは、人が能力や人柄によって正当に評価されることだった。日本で教育を受けることができなかった彼は、渡米後、その努力によって学校を首席で卒業し、捕鯨船では乗組員の信頼を得て一等航海士にまで上りつめている。かつて一人の漂流者が希望として見出した能力主義のような理念は、一世紀半を経て、世界を覆う自明のものとなっています。またそれらは、人々が自らを休みなく労働に駆り立て、際限なく自己を高めようとするプレッシャーの別名でもある。