SOLO EXHIBITION SWEPT ALONG, BUT NOT SWEPT AWAY(2024)

山口塁 個展「流されずに流されていく」
コートヤードHIROOガロウ(東京)、2024年11月1日–17日
助成:メディア芸術クリエイター育成支援事業

「流されずに流されていく」

私たちはいつから、あてもなく歩けなくなったのだろうか。いつから、迷い方を忘れてしまったのだろうか。散歩の途中でふと立ち寄った店で「何かお探しですか?」と尋ねられるたび、私は戸惑ってしまう。この店で特に探しているものはない。そもそも、人生において私たちは本当に何かを探しているのだろうか。

効率と生産性を優先する社会システム、終わりのない情報の渦、感動の名のもとに押し付けられる他人の物語。私たちは常にさまざまな「流れ」の中に置かれており、それらの潮流は、私たちをあらかじめ定められた方向へと押し流す力を持っている。

これらの流れに完全に身を委ねるのでも、絶えず抗い続けるのでもなく、2017年から2024年にかけてさまざまな都市で行ってきた一連のパフォーマンス作品を提示する。

それぞれの実践の中心には、「歩く」という行為がある。歩くことは遅く、退屈で、ありふれた行為かもしれない。しかしだからこそ、私たちに迷う自由を与えてくれる。目的地へ向かう直線的な移動から離れるとき、私たちは自己と世界との対話に耳を傾け始める。ある流れに身を任せながらも、内なるリズムから生まれる足取りは、同時に予期せぬ方向へと開かれている。それは、どの地図にも存在しない道を歩くことに似ている。

10年前の自分に「芸術家になる」と告げても、きっと信じないだろう。私はこれからも、自分の想像を超えていくような道を歩み続けたいと願っている。

この展覧会は私の旅の断片であると同時に、鑑賞者を彷徨の世界へと誘う招待状でもある。それは何かを「見つける」ためではなく、既存の枠組みや慣習から解き放たれ、自分自身を「見失う」ための旅になるのかもしれない。

撮影:Ujin Matuso