Statement

美術家として活動をはじめる前、ブロガー/YouTuberとして世界中を旅しながら、その土地で出会った人々の生き様を取材して発信する仕事をしていました。その時に感じた「言葉=それは最も身近な、私とあなたを分かつもの」を扱うことへの違和感から、境界を乗り越える方法としてのパフォーマンス・映像インスタレーション作品を制作しています。

《スマホ1台旅》では、人為的に作られた国境を近所のカフェに行くかのように軽やかに横断し、《Are you looking for something?》では、自身の肩書きや目的を求める社会に対して些細な抵抗を映像作品として発表。最新のプロジェクト《ホットサンドメーカーズクラブ》では、ホットサンドメーカーを持ってヨーロッパ各地を周り、出会った「他者」をパンで挟み、彼ら/彼女らの経験を言葉で理解するのではなく、食べることで直接身体で受け止める包括的なアクションを行ってきました。

また、出会った人の印象的な言葉を刻印できる特注のホットサンドメーカーを製造し、それを用いて、第三者にホットサンドを振る舞う(還元する)ワークショップも各地で行っています。参加者が能動的に自ら表現を生み出していくなど、主体性を育む循環を作ることで、私の研究テーマである「何にも別れることのないまま生きることが受領される社会」は創造できると考えます。