Sonoaida Residency

新有楽町#ソノアイダ アーティスト・イン・レジデンス

新有楽町#ソノアイダ(東京)
滞在期間:2023年1月18日〜2月26日
成果展:2月24日〜26日

2023年1月から2月にかけて、「ソノ アイダ#新有楽町 ARTISTS STUDIO」の第9期に滞在制作を行った。ソノアイダはアーティストの藤元明が始めたプロジェクトで、新有楽町ビルでは株式会社アトムと協働で運営されていた。会場は三菱地所の新有楽町ビル1階の空き店舗。1967年に竣工した新有楽町ビルは、建替えのため2023年の閉館が予定されていた。この滞在は、A-TOM ART AWARD 2022 でソノアイダ賞を受賞し、アーティスト・イン・レジデンスとしてスタートしたものである。

約1ヶ月半の滞在中は、制作しながらその過程そのものを公開した。また、有楽町とその周辺が戦後の占領期にどのような場所だったのかをリサーチし、それをもとにパフォーマンス作品《Eating Tour For Freedom #1》と《ON LIMITS》のほか、ドローイングなどを制作した。

ON LIMITS – research collage around a front page of the Stars and Stripes newspaper from the occupation period

1945年8月の敗戦後、連合国軍の進駐が始まると、有楽町・丸の内・銀座一帯の多くの建物が接収された。1938年に竣工した日比谷の第一生命館は、同年9月にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収され、マッカーサー総司令官の執務室が置かれた。丸の内の明治生命館は米極東空軍司令部として使われ、その2階の会議室では1946年から米・英・中・ソ4カ国の代表による対日理事会が開かれた。東京會舘も1945年に接収され、「アメリカン・クラブ・オブ・トーキョー」の名で1952年まで将校クラブとして使われた。銀座では服部時計店本社(現・和光)と松屋銀座店が米軍の売店「TOKYO PX」となり、有楽町の東京宝塚劇場は「アーニー・パイル劇場」と改称された。こうした接収建物には「OFF LIMITS」(日本人立入禁止)のサインが掲げられ、有楽町はそのサインが数多く点在するエリアだった。

1952年4月にサンフランシスコ講和条約が発効し、占領は終わった。服部時計店は同年4月、第一生命館は7月、松屋は9月に返還された。明治生命館の返還は1956年、東京宝塚劇場がもとの名前に戻ったのは1955年である。

ON LIMITS – research collage of photographs and handwritten notes on the requisitioned buildings of Yurakucho
ON LIMITS – research collage with a hand-drawn map of the Yurakucho area and handwritten notes
ON LIMITS – research collage comparing photographs of Times Square in New York with handwritten notes
ON LIMITS – research collage on the post-war Recreation and Amusement Association, with handwritten notes
ON LIMITS – research collage of occupation-era newspaper clippings and handwritten notes on entry permits
ON LIMITS – research collage of OFF LIMITS signs and neon club signs from occupied Tokyo

リサーチをもとに、かつて接収され日本人の立ち入りが制限されていた建物(GHQの拠点であった第一生命ビル、東京會舘、明治生命館)に、アメリカンフードを食べながら入っていくパフォーマンス《Eating Tour For Freedom #1》(2023年、6分24秒)を行った。“接収”された建物で“摂取”する。胸に仕込んだボイスレコーダーで録音した咀嚼音は、映像のなかで大音量で響き渡り、搾取的なイメージを喚起する。同時にこの作品は、かつて日本人の立ち入りが叶わなかった空間で、いまは自由に、しかも行儀悪く食べ歩きができるという状況の変化を強調している。

ソノアイダは、滞在作家の制作場所であると同時にオープンスタジオとして機能している。滞在中、通行人が作品に惹かれて足を止めたり、スタジオに入ろうかどうか躊躇したりする姿に着目した。そこで「OFF LIMITS」の対義語である「ON LIMITS」のテキストをソノアイダの入り口にプリントし、この空間がいまは誰にでも開かれた場所であることを強調した。この作品《ON LIMITS》は滞在成果展のタイトルとしてそのまま採用され、2023年2月23日のオープニングでは、通行人を呼び込むサンドイッチマンに扮したパフォーマンスを行った。

ON LIMITS – interior of the #Sonoaida studio with the ON LIMITS sign hung above the entrance
ON LIMITS – night view of the open studio with visitors inside, seen from the street

同年には、シリーズ2作目となる《Eating Tour For Freedom #2》を制作した。東京23区内で唯一の米軍基地である赤坂プレスセンターのフェンス前でサンドイッチを作り、フェンスの隙間から差し込んで食事をすることで、日本にありながら日本人が立ち入ることのできないアメリカ領土への介入を試みている。

関連リンク:ON LIMITS(Exhibition)/ON LIMITS(Works)/Eating Tour For Freedom #1/Eating Tour For Freedom #2