10年後も元気でいようね!

サイアノタイププリント、指示書、2024年

10年前はニューヨークでブレイクダンス、現在はパリで現代美術。予想もしない場所へ流れ着いてきた山口は、留学中の日課となったセーヌ川の散歩で撮影した写真を、サイアノタイププリントで表現した。

建築図面の複写技術として生まれ、「青写真を描く」という言葉が示すように、サイアノタイプは未来の計画や構想を象徴する技法である。しかしその一方で、光や時間の影響で色が褪せやすいという特質を持つ。

このプロセスには、計画という言葉が持つ確実性への懐疑が込められている。山口は自身の予測を超えて展開してきた人生の軌跡と、これから先の見えない未来への期待を、移ろいゆく青の色調に託した。それは不確かさを受け入れながら、なお前に進もうとする意志の表明でもある。